そもそもマンホールカードってどんなもの?
下水道の有用性と地域の特色を伝える、カード型パンフレット
簡単にいうと、デザインされたマンホールの蓋を題材とした、無料でもらえるカードです。
マンホールカードは、下水道広報プラットフォーム(GKP)という団体が制作発行を管理運営しており、発行を希望する全国の自治体と共同で制作しています。下水道の有用性と地域の特色を伝えるカード型パンフレットというのが、本来の役割です。
その地域を訪れた人にだけ、一人1枚・1回無料で配布する仕組みにより、スタンプラリーのような遊び要素があることも人気の一因だと思います。
郵送や取り置き対応はしていません。複数枚を入手したり、転売したりするのは禁止です。配布場所が限定されていて、実際にその場所を訪れることでしか入手できないからこそ、コレクター魂をくすぐるのですね。
観光や買い物ついでに、旅の想い出としてコレクション!
外国人観光客もお土産にもらったりするのかな?
マンホールカードはトレーディングカード
トレーディングカードってご存じですか?
有名なところでは、ポケモンや遊戯王、ワンピースといった超人気コンテンツを題材として、登場キャラクターなどを魅力的にデザインしたコレクション性のあるカードです。通常トレカと呼ばれ、対人で遊べるゲームシステムは子供から大人まで大人気!また、レアカードはその希少価値から、コレクターにとっての投資対象でもあります。
漫画やアニメの世界観、魅力的な登場キャラ等の多種多様なコンテンツ、それらを統一フォーマット上で遊びの仕組みとしてまとめ上げたカードだからこそ、次々に集めたくなる。
マンホールとカードは、トレカと同じ仕掛けで成功しています。魅力的なマンホール蓋のデザインをアイコンとして採用し、裏面ではマンホール蓋のデザインの由来として、発行自治体の特徴などを紹介。
デザインとコンテンツ、そしてピクトグラムや管理番号まで統合的に同一フォーマットで整理する手法は、まさにトレカです。日本全国にある地域コンテンツを伝えるツールになっています。
コレクターたちの収集欲にうまく点火したのだな
少年のころに集めまくり、友達と交換して遊んだビックリマンシール…楽しかったな。
マンホールカードのサイズは、縦88×横63mm。トレーディングカードの標準サイズに合わせてありますね。トレーディングカード用のクリアフォルダー冊子は、100均などで販売されていますので、ぜひコレクション用に準備しましょう!
マンホールカードの魅力
美しいカードデザイン&地域の特色を知るきっかけツール
マンホールカードの最大の魅力の一つは、デザインの美しさと地域ごとの多様性です。それぞれのカードには、地域独自のマンホールデザインが採用されています。
マンホール蓋自体のデザインが、とにかく美しい!
例えば、富士宮市のカードには田貫湖の有名な逆さ富士にふじざくらがあしらわれています。サンリオピューロランドやロードバイクのトレーニングコースとして有名な「尾根幹」がある多摩市のカードでは、キティちゃんがロードバイクに跨っています。新宿区のカードは、歌舞伎町に出現し特別住民票を持つゴジラのシルエットが描かれています。
こういった豆知識がサクッと入っているカード…いいジャン!
これらのデザインは、その土地の文化や観光名所を象徴するものであり、地域の「顔」としての役割を担っています。
カードの裏面にはデザインの由来や地域の特色、観光情報が詳しく記載されています。この情報を読むことで、単なるコレクションにとどまらず、その地域についての新たな知識が得られるのも魅力の一つです。
好きなキャラクターが描いてあると嬉しいし、訪れた場所の知られざる特徴がわかるのもまたよし!
さらに、池田市のカードのように季節ごとに配布するカードの絵柄を変えて4種類のカードを配布したり、つくば市のように合格祈願マンホールカードセットとして配布したり、自治体の創意工夫によってコレクター心をくすぐる仕掛けも凝らされています。
マンホールは蓋が丸いので「落ちない」、表面が凸凹(でこぼこ)しているので「滑らない」ことから、「合格祈願」のお守りとして人気を集めています。
こうしてアイデアにアイデアが組み合わさって、さらにコンテンツ力を高めています!
ロードバイクの細いタイヤだと、濡れたマンホール蓋はめちゃくちゃ滑るので要注意!
それぞれの地域が誇る原風景や名産品、ご当地ゆるキャラのほか、漫画・アニメで大人気のキャラクター(機動戦士ガンダム、機動警察パトレイバー、北斗の拳、鉄腕アトム、ブラックジャック、銀河鉄道999、弱虫ペダル、初音ミク、ちびまる子ちゃん、ウルトラマン、キン肉マン、MFゴースト…まだまだあります)も多数コラボ!
「次はどんなカードが配布されるのだろう?」という期待感が、全国のファンを引きつけていますよね。
収集の楽しさとコミュニケーションツール
マンホールカードは、収集プロセス自体に遊び要素が満載です。一日に複数枚を手に入れようと思ったら、交通機関やGoogleマップなどを駆使して、効率よくまわるためのルートを練る必要があります。
配布場所がすぐにわかる場合もあれば、初めて訪れる街の知らないショッピングセンターの5階で配布といったケースもあり、調べて探し回るあたりはスタンプラリー的要素を感じさせます。
カードを手に入れるには実際にその土地を訪れる必要があるため、「旅行の目的地・ルートを決めるきっかけ」としても優れています。裏面の解説を読むと、実際に訪れているその土地の歴史や文化をより理解して、旅の楽しみ方がより豊かになるのですね。
マンホールカードのもう一つの大きな魅力は、コミュニケーションを生むツールとしての機能です。
新しいカードの配布情報を耳にした時、「今度の休日に一緒に行ってみよう」と家族や友人を誘うのも妙案。また、現地でカードを受け取る際、観光案内所や資料館のスタッフとの会話が生まれることで、地域住民とのふれあいも楽しめます。
僕の場合はロードバイク仲間と「マン活(蓋活ともいうみたいです)」に行こうよと誘います
また、トレーディングカードのように、対人でのカードゲームとして独自ルールをつくって遊ぶ人もいるみたいですよ!
マンホールカードの誕生秘話
制作者の情熱と自治体の共鳴
マンホールカードは、2016年に下水道広報プラットフォーム(GKP)が企画し、誕生したコレクションカードです。その背景には、制作者の一人である山田秀人氏の熱い思いと、地域を盛り上げたいと考える全国の自治体の協力がありました。
山田氏は「ご当地カードプロデューサー」(株式会社ストーリーノート)として活動されています。以前おもちゃメーカーで働いていた経験から、収集アイテムが持つ魅力や、コミュニケーションを生む力を熟知していました。下水道は生活に欠かせない重要なインフラでありながら、その価値が見過ごされがちであり、「この現状を変えたい」と考えた山田氏は、マンホール蓋という独自性を活かした広報活動を推進していきました。
各地で異なるデザインのマンホール蓋をカード化し、訪問者が現地に足を運ぶことで手に入る仕組みを作ることで、自治体と訪問者の接点を増やそうと考えたのです。
日本のマンホール蓋は、ご当地観光要素などの情報が60㎝正円の中に実に巧みに詰め込まれています。日本が世界に誇れる文化物ともいえる、芸術的センスに溢れた多種多様なマンホール蓋が、美しく着色されて全国各地の道路に設置されているという状況。コレクション性のあるカードにして、関心を寄せてもらい、マンホール蓋の下に広がる重要インフラのことに気づいてもらいたい、そう考えたのですね。
このアイデアに共鳴した自治体は少なくありませんでした。各地で「自分たちの街の魅力を伝えたい」という熱意が高まり、マンホールカード制作に積極的に参加。年3回程度発行され、2016年4月の第1弾から数えて、2024年12月20日リリースの第24弾で計 1,113種(727自治体・団体)、累計発行枚数は1,400万枚にまで達するとのこと。びっくりですね!
希望自治体が多いから、蓋のデザインやコンテンツ要素で審査して発行カードを決めているそうだヨ
自転車で巡るマンホールカード収集のすすめ
自転車活用による収集効率の向上
マンホールカードの配布場所は、駅近郊の商業施設内や観光案内所、市役所等の役場、さらには道の駅や郷土資料館など多種・広範囲にわたります。そのため、自転車を活用することで効率よく巡ることができます。特にロードバイクやクロスバイクは、長距離を快適に移動できるためおすすめです。
自転車を使った収集のメリットは、移動そのものを愉しめる点にもあります。新しいカードを手に入れる目的地まで、緑豊かな道や地域の景観を楽しみながら走るのは、単なる収集活動以上の満足感を与えてくれるでしょう。
また、これまでもこれからも訪れることがなかったはずの、見知らぬ土地を知る機会にもなります。いつもの走行ルートにマンネリを感じているサイクリストの方、知らない土地へ出かけてみましょう!
ロードバイクだと、駐輪場所の様子によって取得難易度が変わるなー。クロスバイクなら、さほど気にせず駐輪できるけどね。
公共の交通機関だけだと、道の駅や郊外にある資料館などはムズカシイ。
健康増進と趣味の融合
サイクリングと組み合わせたマンホールカード収集は、趣味と健康増進を同時に叶えるアクティビティです。エクササイズ効果で心とからだに癒しを与えつつ、目的とするカードを集め回って「本日のミッションコンプリート!」といった達成感も味わえます。ストレス解消に最適な休日の過ごし方として、ぜひお勧めいたします。
目的地があることでサイクリングに変化をもたらし、マンホールカードを手に入れてコレクションが徐々に増えていく。サイクリングもカードコレクションも、続けていくモチベーションを相互に高めてくれることでしょう。
マンホールカードは、単なるコレクションを超え、地域と人をつなぎ、新たな趣味を提案する特別なツールです。ぜひ、あなたもマンホールカードを目的に、新しい自転車収集旅を始めてみてはいかがでしょうか!